新たに従業員を雇い入れようとする場合、応募、面接等により採用が決定すれば、後日トラブルが生じないようにするために次のことに注意をし、労働契約書等により契約内容を明確にすることが大事です。
労働契約の効力について
(この法律違反の契約)
第13条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。
(効力)
第93条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
労働条件を明確にする
(労働条件の明示)
第15条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
※労働契約を結ぶ場合には、労働契約書の作成までは義務づけられていませんが、使用者は、労働者に対して労働条件をはっきりわかりやすく示さなければならず、一定の事項については書面によって明示が義務づけられています
効力の順位
法 令 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約
労働契約の種類
期間の定めのない労働契約
⇒ 労働者及び使用者はいつでも解約できます。(ただし、使用者からの一方的な解約が権利濫用にあたる場合は無効。)
期間の定めのある労働契約
⇒ 契約期間を定めている場合で、このような形態の労働者を契約者といったりします。契約期間中は、原則として、労働者及び使用者からもやむを得ない事情がなければ解約の申し入れができません。
試用期間
試用期間とは、労働者の本採用を決定する前に、一定期間、その労働者の能力や適性を見極めるための期間で、試用期間の長さについて、とくに明確な規定はありませんが不必要に長い期間を設けることはできません。一般的には3か月〜6か月程度のものが多いようです。
労働契約の禁止事項
- (1)違約金・損害賠償額の予定(労基法16条)
- (2)前借金と賃金の相殺(労基法17条)
- (3)強制貯金(労基法18条)
などがあります。
有期労働契約
契約期間の上限は原則3年。ただし、一定の専門的知識・技術・経験を持つ労働者や、高年齢者を雇い入れる場合は5年。
労働契約期間の上限労働契約の締結 ⇒ 契約期間を定める場合 ⇒ 3年が上限 ⇒ 例外
【例外】
土木工事などの有期事業で必要な期間を定めた場合 |
労基法70条の職業訓練の必要がある場合 |
【5年以内まで可能なケース】 次のうちいずれかに該当する場合
高度の専門的知識、技術または経験(厚生労働大臣の定める基準に該当するものに限る)を有する労働者がその高度の専門的知識等を必要とする業務に就く場合 |
満60歳以上の者と労働契約を締結する場合 |
明示しなければならない労働条件
【必ず明示しなければならない事項】
- (1)労働契約の期間
- (2)就業の場所・従事すべき業務
- (3)始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働(早出・残業等)の有無、休憩時間、休日、休暇および労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
- (4)賃金の決定、計算・支払いの方法および賃金の締め切り・支払いの時期
- (5)退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)
- (6)昇給に関する事項
【定めをした場合に明示しなければならない事項】
- (7)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法および支払時期
- (8)臨時に支払われる賃金、賞与および最低賃金額に関する事項
- (9)労働者に負担させる食費、作業用品などに関する事項
- (10)安全・衛生
- (11)職業訓練
- (12)災害補償・業務外の傷病扶助
- (13)表彰・制裁
- (14)休職
以上