[年金・医療]社会保障・税番号制度:大綱案まとまる 6分野で利用
政府の「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会」は2011年6月28日、社会保障・税番号大綱の案をまとめました。国民一人ひとりに年金、医療、介護保険、福祉、労働保険、税務を主な用途とする共通の番号を割り振るとしています。
大綱案は個人情報が流出しないように第三者機関による監視も盛り込みました。ただ導入そのものに異論があるほか、使い方をめぐる議論も収束していないため、実現はまだ不透明です。
番号制度を導入する理由については「従来、高額所得者に対する所得の補足といった観点から議論されることが多くありましたが、今回導入する番号は主として給付のための番号として制度設計する」としています。社会保障給付のほか、「医療・介護等のサービスの質が向上する」「事務・手続きが簡素化する」「災害時に活用できる」といったメリットを挙げています。
また、番号は公的な証明書としても通用します。大震災の際に被災者生活再建支援金などを申請する場合、番号があれば証明書などの添付書類が不要になります。被災者が預金通帳をなくした場合も、番号を利用すれば金融機関から預金を引き出せるようにします。
さまざまな手続き書類が不要となるため、行政の事務手続きが簡略化でき、「国民の利便が高まるとともにコストも削減できる」と大綱案は説明しています。似たような仕組みはオーストリアや韓国、米国など海外で幅広く採用されています。
番号制度には「付番」「情報連携」「本人確認」の三つの仕組みを必要とします。付番する番号については、「国民一人ひとりに一つの番号が付与されていること」「全員が唯一無二の番号を持っていること」「目で見て確認できる番号であること」などとしています。
個人が番号を利用する際に、利用者が本人であることを証明するための仕組みである本人確認については、ICカードを利用するとしています。ICカードの券面に基本4情報と呼ぶ氏名、生年月日、性別、住所と顔写真を記載し、ICチップに番号を記録します。
6月中に政府・与党社会保障改革検討本部の承認を得て正式な大綱とする予定。その後、パブリックコメントを集め、その結果を反映して法案にする。法案は今秋以降に国会に提出する計画で、2014年6月に番号の交付を、2015年1月に社会保障、税務の分野の可能な範囲で番号の利用を始めたいとしています