[労働法]医師15人に残業代未払いの病院に是正勧告−静岡
静岡県立こども病院(静岡市葵区)が医師に対し、上限を超える時間外労働をさせた上、残業代を支払っていなかったとして、労働基準法に基づく是正勧告を静岡労働基準監督署から受けていたことが1日、分かりました。
医師らは病院を管轄する県立病院機構に対し未払いの残業代を払うよう静岡簡易裁判所に申し立てを行い、医師15人に残業代総額約1630万円(2007年10月~2008年7月分)を支払うことで機構と調停が成立しました。1人最大で約300万円の支払いでした。
機構によりますと、病院は以前、常勤医師には残業代の一部のみ支払い、非常勤医師には週35時間分の正規の賃金しか支払っておらず、残業代はありませんでしたが、労基署の調査で発覚し、2008年5月に是正勧告を受けました。
その後、病院側は残業代を支払う仕組みに変更し、昨年4月には医師の時間外労働の上限を、年間450時間から750時間に引き上げることで労働組合と合意しています。協定を超える時間外労働については当病院だけでなく、県立総合病院とがんセンターも2007年の勧告で指摘されていますが、背景に慢性的な医師不足の実態があるといわれています。